日本教育医学会での発表

1970.01.01

筑波大学で開催された第60回日本教育医学会記念大会において、当協会理事の重松良祐、大藏倫博、中垣内真樹が発表しました。

発表タイトルは 効果検証された運動プログラムを地域に普及させるボランティア活動の評価 です。

以下、簡単ではありますが、発表の概略を示します。

[目的]実験室レベルで検証された、効果的な介入プログラムを地域レベルに普及させようと試みた研究は限られている。我々はスクエアステップと名付けた高齢者向けの新しい運動プログラムを開発した。本研究では、運動ボランティアを養成し、イベントなどでスクエアステップを紹介してもらうという普及プログラムを地域で展開し、スクエアステップ効果の交差妥当性を評価した。これらを通じて普及ボランティア活動を評価した。

[方法]志摩市、津市にそれぞれ在住している運動ボランティア(スクエアステップ指導員)101名を実験群、27名を対照群とした。実験群は2年以上の指導経験を有していた。一方、対照群は1年だけの経験だった。質問紙を各運動ボランティアに郵送し、過去1年間の指導経験について尋ねた。評価にはRE-AIM(Glasgow et al., 1999)の手法を採用した。

[結果]志摩市ではターゲットポピュレーション(高齢者)の14.6%にスクエアステップの紹介の場に集まってもらうことができた:これは津市での4.8%に比べて有意に高かった(図)。しかし、スクエアステップを紹介できた志摩市1646名、津市864名のターゲットポピュレーションのうち、同程度の割合が実際にスクエアステップを実践することができた(志摩市90.2%、津市99.9%)。そこで得られた主な効果は、両群ともに体力向上;コミュニケーション;脳機能活性だった。スクエアステップの普及を承諾した組織の割合は両群とも100%だった。同じく承諾したグループの割合は志摩市で90.0%、津市で95.5%と有意差はなかった。志摩市では19箇所、津市では3箇所で長期にわたったスクエアステップ教室が開催されていた。そこでの参加者が得た効果には体力向上;脳機能活性;転倒予防があった。

[結論]スクエアステップの普及プログラムとそれによる効果には交差妥当性があり、また地域に普及させられる可能性が高いことから、地域レベルでの公衆衛生的なインパクトが有意であることが示唆された。



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